お知らせ
モストグラフを新規導入しました(ぜんそくやCOPDの検査です)
2022年09月20日
モストグラフはぜんそく(喘息)、咳喘息やCOPDのように気管支や肺胞が狭くなっている病気のために開発された新しい検査で、
普通に呼吸をしたまま、気管支や肺胞が狭くなっているかどうかを調べることができます。
今回新しく出版されたCOPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022〔第6版〕にも詳しく取り上げられています。
この検査を行うことにより気道が狭くなっているかどうかだけでなく、肺のどの部分が狭くなっているのか(つまり、傷んでいるのか)を推測することができます
検査方法
- 鼻にクリップをして、マウスピースを口でくわえます
- 頬を両手で軽く押さえます
- 20秒程度、楽に呼吸をして終了です
呼吸機能検査(スパイロメーター)と違い、大きく息を吸ったり、思いっきり吐いたりする必要がないので、ご高齢の方でも簡単にできる検査で、気管支や肺胞の状態を「呼吸抵抗」という数値で表すことができます。
結果は色分けされ正常ならば緑、抵抗が強くなるに従い黄色→赤→青と表示されるため分かりやすいです
ぜんそく(喘息)・COPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、慢性気管支炎)ではモストグラフで得られる「呼吸抵抗」の数値が高く出るだけでなく、それぞれの「呼吸抵抗」の数値の特徴が違うことがわかっており、診断に有効です。
①健常者では、呼吸抵抗測定の際に用いるオシレーション波の周波数を変えても、呼吸抵抗値はあまり変化しません。
②ぜんそくでは、呼吸抵抗は高いものの、周波数や呼吸周期への依存はあまり見られませんが、重症になるほど周波数依存性も顕著になることが知られています。
③COPDでは、周波数が小さいほど呼吸抵抗が高くなっていく現象(周波数依存)や、呼気と吸気で呼吸抵抗が違う現象(呼吸周期依存)が特徴的です。
これらのパターンの違いから、ぜんそくやCOPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、慢性気管支炎)を診断することができます。
<①健康な場合 波が緑色⇒気道抵抗を認めない>
<② 喘息が疑われる場合 波が黄色〜赤色で同じ時間帯の波の色は統一されている>
<③ COPDが疑われる場合 波が赤色〜青色がメインで、同じ時間帯の波の色にばらつきがある>
また、モストグラフは、ぜんそくやCOPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、慢性気管支炎)の診断だけではなく、治療後に再検査をすることで治療効果を確認することができます。
<吸入治療後波の色が黄色から緑色に変化している⇒気道抵抗が改善している>
呼吸抵抗測定の特徴のまとめ
- 20秒間、普通の呼吸をするだけで、気管支や肺胞の状態を知ることができます。
- 高齢のかたや小学生でも検査可能です
- 息苦しい原因に肺や気管支が関与しているかどうか判断できます。
- 長引く咳の原因として多いぜんそく(喘息)の診断に有用で、聴診所見や呼気一酸化窒素検査(FeNO)のみでは見逃されやすい咳喘息(所謂かくれ喘息)の診断に役立つ検査です。
- ぜんそく・COPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、慢性気管支炎)の診断に役立ちます
- ぜんそく・COPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、慢性気管支炎)の調子が良いかどうかの指標になります。
- ぜんそく・COPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、慢性気管支炎)の治療効果の判定に役立ちます。
モストグラフの注意点
お子さんや一部の成人(特に女性)には、ぜんそくやCOPDでなくても、気道抵抗が高値となる方がいます。このため、症状(咳、呼吸苦など)、既往歴、聴診、胸部レントゲン、呼吸機能検査、呼気一酸化窒素検査(FeNO)などの所見と併せて判断することが重要です。また治療後に呼吸抵抗が変化するかをみることも大切です
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